オステオパシーの特徴
🍀 オステオパシーとは
一般的な概要に関して言及しています。
当院の考えるオステオパシーについてお伝えしたい内容としては
オステオパシーをご覧ください。
オステオパシーとは、様々な人体の不調や痛み、悩みに対して改善を促す目的で行われている手技療法、またその哲学体系を言います。
筋肉、靱帯、筋膜から神経、血流、リンパ、ホルモン、内臓器官、更にはクライアントの精神的な部分(Body・Mind・Spirit)といった観点から、不調を起こし、改善すべき部位、体制機能障害(=ソマティックディスファンクション)を探し、解剖学や生理学、熟達された触診法を通して合理的、科学的にアプローチするホリスティックな(症状ではなく、人間全体を見る)手技療法、代替医療です。
日本国内においては整体のひとつとして認知されていますが、先進国では有効な医療類似行為としての認知が高いアプローチと言えます。例として、アメリカでは医科大学として29校存在しますし、また国家免許資格による医療類似行為(国内における鍼灸師、柔道整復師、あん摩マッサージ指圧師など)を学ぶ大学として、イギリス10校、オーストラリア4校、カナダ3校、ロシアとスペインにも一校づつ存在します。(2010年2月現在)
院長、萩原が国内外で出会った欧州出身の方に存在を聞いた際、オステオパシーという単語を知らない人にはまだ会っておりません(2018年現在、20名程度)
国内においては理学療法士やカイロプラクティック施術者、各種手技療法家に対しては特に認知が高く、一般のクライアントに対しても少しづつ認知されはじめています。
名前の由来
オステオパシーと聞いて、何か突飛な、すこし「怪しい」印象を受ける方がおられますが、ラテン語で「骨」を意味するオステオンと「病気・治療」を意味するパソスに由来した造語です。
🍀 創始者が伝えるもの
1874年にアメリカの医師アンドリュー・テイラー・スティル博士(A.T.スティル, M.D.)によって発表された自然医学です。カイロプラクティックより歴史は古く、カイロプラクティック創始者のD・D・パーマーもその理論の発表前にオステオパシーの講義を受けていた記録があります。
彼は当時の医学に疑問を感じた中で、解剖学を通して、人体を構成する全ての組織。つまり関節、筋肉、靭帯、神経、血管、リンパ官、内臓などの全てに着目します。またスティル博士は患者の存在の全て、つまり体(Body)、意識下の心(Mind)、無意識下の心(Spirit)※treat訳 を重要な要素であるとしています。
患者が訴える痛みに対して、その部位に対して施術するだけではなく、その原因をホリスティックに探し、人体それ自体が持つ「自己修復力」「恒常性」「免疫力」などを発動させる事に重点を置くという考えに至った。スティル博士の哲学であるホリスティックアプローチ、患者全体を診るという発想を構成するに至ったヒントの中には、医学の父と言われるヒポクラテスの哲学や、東洋医学の発想があります。
長い時を超えて受け継がれる健康への真実として、「患者全体を診る」「自己治癒力を発動させる」という部分を、最も真っ直ぐに研究した成果が、オステオパシーだと私は考えています。
また、スティル博士の大きな功績として、彼は自らの効果的な治療テクニックを教え子に伝えませんでした。「テクニック主導になっては、後は劣化してゆくだけ。大事なのは哲学。」として、オステオパシー哲学を忠実に守ることを伝えました。結果、140年以上の間オステオパシー医師らの間で様々な研究が行われ、テクニックの種類としては他の例を見ないバリエーションを持つに至りました。様々な他の手技療法を見ても、オステオパシーを学んだ後では、自らの中に持つテクニックのバリエーションのどれかに該当してゆきます。(鍼、もしくは催眠術的な療法は除く)
🍀 オステオパシーの原理
1. 体は1つのユニットである
痛みを感じている所だけが悪いわけではありません。そこの痛みを発現させるに至った原因を「Body、Mind、Spirit」の中から注意深く探る必要があります。
肩こり、腰痛、首の痛み、自律神経失調、頭痛、脊柱の歪みなどと向き合う時、その部位だけが悪いとは決して発想しないのです。
2. 構造と機能は相互に関係している
人体は機能に応じた組織形状(構造)を持ちます。言い換えると構造に沿った機能を持っています。機能に不具合が起こると構造に変化を与え、構造に不具合が起こると機能を下げます。相互は互いに相関関係があり、機能と構造のどちからかに異常を発見したとしても、その他方も同時に意識する必要があるという考えです。
3. 人体はそれ自体に自然治癒力・自己調整力を持つ
人体は常に内部を一定に保とうとする機能である恒常性「ホメオスタシス」を持ちます。外的な要因によって揺るがされた人体が、通常の状態に治癒しようとする働きが阻害されることから解放する、自己治癒力を存分に発揮出来るところまでの手伝いをすることです。
4. オステオパシーの施術は以上に基づいて行われる
オステオパシーとはテクニックを表現する単語ではなく、上記3つの原理を実践する医療(国内においては手技療法)であることです。
🍀オステオパシー テクニックの紹介
直接法
動きが悪くなった関節や部位に対して、固い場所=制限バリアを見つけ、直接的にそのバリアに対して外力を与え、関節もしくは部位の可動域を正常に回復する方法。代表的なものとしてスラスト法(HVLA=高速低振幅によりインパクトを与える方法)があり、これはカイロプラクティックでいうアジャストメントと類似しており、ポキっと関節が鳴ることがあるが、オステオパシーにおいて音は重要視されず、検査による可動域の回復に焦点が当てられる。他にはリズムカルに行うアーティキュレーションやMDMA(中速中振幅による方法)などがある。また、直説法とは概念であり、筋肉のストレッチや押圧なども制限を作るバリアに対して行う直接法と言える。即効性などメリットもあるが、患者への侵襲も大きくなる可能性があるので十分に注意を払う必要がある。
間接法
直説法で述べた制限バリアに対し、直接法とは反対に、バリアの無い(動きやすい)方へと関節もしくは組織を動かし、制限の改善を待つテクニック。施術は多くの場合において痛みは楽になり心地よさを感じる。筋膜や関節、筋肉、骨(骨膜)、頭蓋など、全身に応用される。代表的なものとして、次に述べるストレイン&カウンターストレインテクニックがある。
ストレイン&カウンターストレイン
体内の機能障害を表現して体表の筋膜上に現れる圧痛点(テンダーポイント)を指標として、その痛みが消失する姿位を探し90秒間程維持し、機能障害を解放するテクニック。非常にソフトで効果の高いテクニックだが、脱力の苦手なクライアントには工夫が必要となる。よく比較されるトリガーポイントセラピーでは、トリガーポイント自体を治療対象とすることや、放散痛を伴うことからカウンターストレインでの圧痛点とは異なる。
筋・筋膜リリース
様々な方法で直説法的なストレッチや強いけん引を行ったり、関節法的に行いバランスを整える方法などがある。オステオパシーでは筋膜は四つのP(Package包含 Passage(体液などの)通路 Protect保護 Posture姿勢)に関わる重要な存在として、古くから多くのテクニックが存在する。
筋エネルギー法
制限バリアにおいて、患者に軽い力を入れてもらい筋や関節の動きを改善するテクニック。外的な力ではなく、患者自身に行ってもらうことにより負担が少なく、少なくとも確実な効果が期待出来るテクニック。直説法的な使用や、筋の相反抑制(入力した側と拮抗する筋に対する弛緩効果)などの方法がある。
スティルテクニック
バン・バスカークD.Oが、スティル博士のテクニックを再現したテクニック。間接法的姿位から直接法的姿位へとダイナミックに関節を動かして行う。短時間で行えるテクニック。
頭蓋オステオパシー(クラニオセイクラルセラピー、クラニアル)
ウィリアム・G・サザーランドが開発した治療法。脳脊髄液の流れを改善する為に頭蓋骨の動きを調整するとする方法。SOTなどカイロプラクティックなど多岐に影響を与えている。当院ではこの療法は基本的には行わず、頭蓋に対してはカウンターストレインを用いた施術を行っております。
靱帯性関節ストレイン法
初期のオステオパス達が用いたテクニックをまとめた同名の書籍にある内容。よって関節法や直説法、呼吸を用いたものなどが網羅されている。
内臓マニピュレーション
フランスのジャン ピエール バラルD.O.、MRO (F)が始めた手法。内臓には自発的な動きがあるとし、それをあるべき状態にすることにより機能を回復させる。
操作するのは内臓だが、内臓だけではなく全身の緊張や痛みなどの悩みに対応している。
クラシカルオステオパシー
イギリスにおいて発展。スティルが徹底して解剖学を重視する中、そこで学んだリトルジョンが生理学を重視して開発したとされる。また、オステオパシー誕生間もなく、アメリカからイギリスに渡った為に、古典的な流れを現代に伝えるものとしてその名がついた。
🍀当院で考える正当なオステオパシーとは
多くの手技療法やマッサージ、各種医療類似行為を試された方々にはオステオパシー施術と称する療法を知る機会があったり、実際に施術を受けたことがある方がおられるかもしれません。
枠としてはオステオパシーであっても、施術所や施術者により内容は大きく変わってきます。
当院が大事に守っているオステオパシー施術は以下の通りです。
- 基本原理に忠実に。つまり科学的、生理学的に整合性のある内容で行う。
- 施術者の都合ではなく、クライアント第一で取り組む。
長文となりましたが、オステオパシーについてさらにご興味のある方は以下(外部リンク)もご覧下さい。
オステオパシーが日本で整体と呼ばれるものの源流となったことが言及されています。